おっざっぱにいえば、ペネトレーションとはボールの推進力。じつはほんとうにちゃんと説明しようとするとたいへんです。 たんなる速度ともちょっと違う。地面でバウンドしてからの速度ともちょっと違う。速度エネルギーと回転エネルギーの総量のこと、つまりボールの運動エネルギーのことかというとそれもちょっと違う。なんかボールに込められた気のようなものも関係しているのではないかという気もする。ボールにはウィルパワーというようなプロパティもあるのかもしれない。

ボールには総運動エネルギー量がまずあって、 それをどう配分するかということがテニスの技術の本質なわけです。 「スピン・ショット」は回転エネルギーに多く配分するので、推進エネルギーはその分だけ減るわけです。 「フラット・ショット」は総運動エネルギー量のすべてを推進エネルギーに使います。 目的の推進エネルギーを達成するのに必要なエネルギーが最も少なくて済むのはフラットです。 ですからフラットがもっとも効率の良いショットです。フラットが最も美しく、目指すべきジャスティスなショットであるのは、そういう理由です。いまごろのテニス・スクールでは初心者に、いきなりスピンを教えます。いまごろのコーチはフラットを時代遅れのショットであると思っている場合さえあります。

はっきり言っておきたいと思います。美しいテニスとは「フラットをきちんと打てること」です。別の言い方をすれば「最小の動作で最大の効果を得ること」「所作に無駄がないこと」です。剣道や茶道と同じですね。

高貴なテニスを目指しましょう。エースを狙えるテニスを目指しましょう。ミスを恐れないテニスを目指しましょう。しかしフラットを習得するには、スピンをきちんと打てることもじつは必要なのです。スピンも打てる、しかしチャンスがくればフラットでさっさとエースを決めるというのが理想です。 アマチュアの本分は、プロのまねごとをしたり、賞金も出ない試合で勝つことではなく、理想の美しいテニスへ少しでも近づこうとするプロセスにあります。そのプロセスが愉しいんです。

topic: tennis
first posted: 2014-06-01 14:54:28
last modified: 2014-06-01 22:53:51