Nick のメニューはミュージアムだ、レストランじゃない。
今もバブルの中にいる。
過去の栄光のバスターにならなきゃ。

ミシュラン・スター・シェフのゴードン・ラムゼイのドキュメンタリー番組。

もう滅びるしかないレストランの最後のチャンスを創出すべくゴードンを投入するというお話です。

ゴードンの改善要求に、必要ならば改装まで。 まあ劇的ビフォー・アフターみたいですが、そうでもありません。 のほほんリフォーム番組になるわけがないことはゴードンのキャラから察しがつきます。 改善の成功率は 1/20 くらい。しかもほとんどのレストランは結局、滅びます。 助けられたレストランのほうが圧倒的に少ない。

答えがあるとしたら、滅びるものは滅びるべくして滅ぶ、滅びに悪いも不幸もない、ということの確認でしょうか。 ゴードンは救済者ではなく、じつは死刑執行人としてレストランを正しく成仏させに降臨しているというのが本質のようにみえます。 やめる踏ん切りをつけさせる。Are you killing me? 複雑で重層的な味わい。真実がひとつであっても、どう解釈するかでめちゃくちゃになる。ソリューションは下手に解釈しないこと。

UK 篇と US 篇がありますが、傑作は UK 篇です。 US 篇は、、、余興というか、、、なんかもうレベルがね、、、一線を画すともうしますか、、、ちょっとね。US 篇はなくてもいいわ。 US 篇はゴードンの貴重な時間を無駄にしているような。US 篇はプロレスだと思ってみれば面白いけどね。

UK 篇の最高傑作は Nick Anderson のエピソードだと思います。 美しく、悲しく、やるせない、この「滅びのエピソード」の味わいこそ、Kitchen Nightmare の真骨頂です。 キッチンの悪夢、ひとつだけ見るなら、Nick のお店 Rocco のエピソードです。UK Season 4 です。

美学のないビジネスが成功しようと失敗しようと、どうでもよくてよ。 美学がビジネスと結びつかないことが、悲しいんです。 醜いことがはびこり、美しいことがほろびていく。

ビジネス・スクールやビジネス・セミナーでは、好きなことはビジネスとして成功しないとか、美しいことはビジネスとして成り立たないとか、わかったようなことをいいますが、ほんとうの超一流のビジネスでは、ゆるぎない美学とヴィジョンをぶれなく貫いていることを忘れたくありません。

メニューを一枚に絞れというのもゴードン・メソッドのひとつですが、メニューを絞るってのは「ご用聞きであれ」ってのをある意味で否定することですよ。御用ばっかりきいててもだめ。御用なんかきかず、未知なるもの、いいなと思わせるものを提示できること。いわゆるセレンディピティ。ワクワク感。

見栄を張らない。
ウソをつかない。
正直なシンプル。
オーバータッチしない。
感性を研ぎすますことを怠けない。

Nick のお店 Rococo は、2006年6月ごろから始まったゴードンの改革後、とても好調で、エピソードが放送された 2006年11月ごろには借金を返済できそうな感じもありましたが、あまりにも多すぎる借金(10万ポンド=約1500万円)を返すには足りず、返済期限を迎えてしまい、2007年9月に破産を申請、ビジネスを続けられなくなりました。レストランは立地がよく利益を上げることが可能なため、他人に売ることができ、レストランは現在、別のオーナーによる、別のレストランになっています。Nick はどこかの雇われシェフになったそうです。

キッチンにずらずら吊られていた、Nick のプライドと没落の両方の象徴であったであろう「高価な輸入もの」フランス Mauviel の銅鍋たちはどうなったんだろう。あの美しい Mauviel の鍋がすべてを象徴している。

悲しい。

Business, Not Vision.
Mission, Not Business.
Vision, Not Mission.

YouTube Channel http://www.youtube.com/user/KitchenNightmares

Wikipedia http://en.wikipedia.org/wiki/Ramsay%27s_Kitchen_Nightmares

Kitchen Nightmares Blog http://kitchennightmares-kitchennightmare.blogspot.jp/

topic: video
first posted: 2013-05-18 22:26:55
last modified: 2013-05-30 23:56:37