現在、総合的にほぼ決定版なのだけれども、気になることもあるので、あえて書いておきます。 「止め」を意図的に無視してるようなところがあちこちにある。 緩急の付け方の淡白さと統一性の無さが、ダイナミズム、彫りの深さ、空間の広さ深さ高さの表現を損ねてしまっている。 「下手な指揮者のワーグナーのようなわざとらしい粘り」を嫌ってのことだろうけれど、 全体的に焦っている感じがする。音にまだちょっと縛られている。音から何かが開放されきっていない。

それとライブ録音だからって最後に拍手を入れるのはいかがなものであろうか。

うーん。惜しいなあもう。

好き嫌いは別にして、ブルックナー 3.0 (= 3番 1st version) ではロジェストヴェンスキーをぜひ聴いておいてほしい。 そのうえでインバルやシモーネ・ヤングやブロムシュテットをもう一度聴いてみてほしい。 そんな聴き比べは鑑賞力を高めるよい練習になります。 もちろん、ロジェストヴェンスキーも完璧ではなく、乱れもあるし、録音があまり良くないのも残念だけど、 全体的な、立体感、空間表現力、構築性、構造性、飛翔感、ムーブマン(運動感)を感じてほしい。

鑑賞者が、どれだけの情報量を処理できているかという問題を常に意識してください。 すべての音を聴けているわけではないということを。 いま現在の自分が聴けている音の情報量がどれくらいなのか。 このへんはもう、運動神経の話なのです。 わたしのメソッドを受け入れてくれたら、1年後にはまちがいなく音楽情報処理能力が上がっています。

しかし、ブロムシュテットのブル 3.0 (= 1st version) が出てくれてほんとによかった。これをおすすめしておけば安心。 これを買っていってくれたらブル3 についての誤解は生じないと断言できる。これを聴いて感動できないようなら、ブルックナーなどいっさい聴く必要はありません。これを聴いて涙を流さないような人と音楽の話はできません。

topic: classic
first posted: 2012-09-08 21:07:14
last modified: 2012-09-12 23:28:47