至高の読書体験。 SFの最高傑作「幼年期の終わり」。 文学の最高傑作「ヨブ記」と「カラマーゾフの兄弟」。

イヴァンをただの悪役だと
思っているなら読み直したがいい。
悪役を探すならむしろ
ゾシマを見るべきである。
イヴァンこそが核心である。
イヴァンこそがドストエフスキーである。
イヴァンの「究極の問い」に
宗教は、哲学は、人類は、
「答えることができるのか」
という話なのである。

カラマーゾフの兄弟を読む前にヨブ記を読んでおくべきです。 ヨブ記も読まずに西洋文学がどうのこうのはないと思います。 キリスト教徒でないなら聖書はヨブ記だけ読んでおけばいいです。 キリスト教徒でヨブ記も読んでないなんてありえない。

問題の核心は誤訳ではなくてその翻訳者の日本語力なのだ。 多少の誤訳はだれでも起こす。 しかし誤訳に程というものはあるだろう。 そもそも文学の新訳を出せるような資質がある出版社なのかという問題もある。 それは誤訳問題に対しどう対処したかで判明する。 その資質があるかどうかの答えはすでに出たと思う。 甚大な誤訳を認めたら本を回収し絶版にし改訂版を出し直すというのが文学に手を出す出版社の良心である。 そんなコストをかける良心も体力もないなら誤訳はないと開き直るしかない。

翻訳者には日本語で詩をかけるくらいの才能が要る。 ロシア語を読めるくらいで翻訳は無理なのだ。 ロシア語の研究者である前に、日本語の詩人でなければならない。 詩を書くセンスもないものが文学の翻訳などするべきではない。 誤訳が問題の本質ではない。

classiclog でおすすめしている岩波文庫版 米川正夫訳 (1957年) は入手しにくいらしい。 やっぱり売れないんですかねえ、岩波文庫。リアル本屋にはない。 amazon でさえ在庫が無い。 新潮文庫版 原卓也訳 (1978年) は入手しやすいみたいですが。 岩波の米川訳が絶版なんてことになると日本も終わりだな。 あの格調ある日本語でもう読めなくなるなんて。 クラウンチング・タイガー? 岩波が満を持して新訳を出す前の静けさ? とにかくいまのうちに米川訳は買っておかないと。

集英社 世界文学全集 28 カラマーゾフの兄弟 1 江川卓訳 (1969年)、 集英社 世界文学全集 45 ドストエフスキー カラマーゾフの兄弟 江川卓訳 (1979年)、 講談社 世界文学全集 19 ドストエフスキイ カラマーゾフ兄弟 北垣信行訳 (1968年) は古書しかない。

私はいま「いっそ英語で読んじゃえ」モードです。900ページで250円。本の厚さが 5cm です。 老子を日本語訳で読むより英訳で読んだ方がはるかにわかりやすいという経験があまりに痛快だったものですから。 超訳とか迷訳なら新井満訳「自由訳・老子」も亀山問題に負けてないと思うのですが、亀山さんほど叩かれないのはなぜでしょう。亀山さんもいっそ「自由訳・カラマーゾフの兄弟」というタイトルにしておけばよかったのに。retold 版ですとか、翻訳じゃありません翻案ですとか明言して、誤訳の指摘には真摯に対処し改訂版を出すことを厭わない良心さえあれば何の問題もありません。「カラマーゾフの兄弟を日本で最も深く読めているのはおれ」とか「決定版ですよ全員集合!いかなる誤訳指摘も批評も営業妨害とみなします」みたいな匂いが反感を買ったんでしょうか。さらに調子に乗って未完のカラマーゾフを補完するみたいなことまでやってしまった。

参考文献: 以下のサイトをぜひ読んでおいてください。

亀山郁夫訳『カラマーゾフの兄弟』を検証する (2007-12-24) http://www.ne.jp/asahi/dost/jds/dos117.htm 米川訳、原訳、江川訳を列記していて明解です。

これから初めて『カラマーゾフの兄弟』を読むひとのために──亀山郁夫による新訳がいかにひどいか (2008-09-25) http://www.kinoshitakazuo.com/kameyama/kameyama(7).html

佐藤優氏の「亀山郁夫訳『カラマーゾフの兄弟』批評」を読む (2009-08-31) http://yokoita.blog58.fc2.com/blog-entry-17.html

topic: book
first posted: 2011-05-18 00:42:33
last modified: 2012-02-17 01:50:28