フロントバッフルさえ良い材質でしっかり作っておけば、他の部分の材質や作りを落としてもなんとかなる。 これと全く同じ手法がギターにも見られるというよりギターの手法をスピーカーに導入しているというのが事実でしょう。 ギターには表板だけ本物のスプルースを使い、ボディはプラスティックの物がある。 これはこれでけっこういい音がするんです。同じ手法がスピーカーでも使えます。 ようするにそういうことです。

B&Wの600系を見れば「B&Wの頭の良さ」を伺い知ることができます。 ネットワークとスピーカーユニットとフロントバッフルはできるだけがんばるけど箱はできるだけコストをカットする。 大きい音を出さなければ、箱の弱さはむしろメリットにさえなる。 そのことに気づいている。 オーディオにとっての正義のひとつに「大きい音を出さない」というのがある。

オーディオにおける正義とは何か、そろそろ考えてみよう。

大きい音を出さなければいい音が出ないようなスピーカーはやはり道を踏み外している。 もちろん外道という筋があってもよい。 外道であるとわかっているならいい。

600系は800系と比べても全体的に遜色の無い音がする。 「安物を我慢して聴く」という悲しい気落ちをまったく起こさせない。 これはこれでひとつの世界だなと思わせる懐の大きさ。 全体を捉える能力。木でなく森をしっかり見通せる能力。 何が必要で何が必要でないか。 なにをすべきでなにをすべきでないか。 600系にはB&Wのスマートさの核心がある。 見る人が見ればわかる。 わかればその合理性に唸らずにはいられない。

600系はミッションであり、インフラです。 600系はB&Wが「ただのマニア向けメーカー」ではないことを物語ります。

topic: audio
first posted: 2011-02-26 18:46:14
last modified: 2011-02-27 19:20:47