このCDいいですよとか紹介するだけでは限界を感じます。 「ブルックナー受容について」はテーマのひとつです。 このブログは「ブルックナーが判るとはなんなのか」ということはつまり「音楽鑑賞とは何か」を説明するという無謀な試行錯誤の赤裸々な実況中継です :p

発端は、ブルックナーの判らない人が「ブルックナーの聴き方を解説してくれる本があればいいのに」と言ったこと。

「そんな、音楽の聴き方、みたいな無粋な本、誰も書きませんよ」とその時は答えたんですが。 気持ちはわかります。ようするに、その人は「マニュアル」を求めているんです。 「文芸的評論」とか「俺100選」とか「ブルックナーならこれを聴け! (c)宇野」とかでなくって。

「聴き方」ってのは「7番なんか聴かなくていい、最初は3番を聴いて」とかって選択の方法ではなく、 「じゃじゃじゃじゃーんは運命が扉をたたいているのであ〜る」って講釈でもなく、 「ここは対位法がなんちゃら」って音楽理論の講釈でもなく、 「この音型はDSCHのサインが隠蔽されてる」って音楽学者ごっこでもない。 そんな本はすでにいくらでもあるし、そんな本をいくら読んでみたところで、 ブルックナーが聴けるようにはならない。

必要とされてるのは「自転車の乗り方、遊園地の入り方、遊び方」とかっての方法ですよ、まさにマニュアル。 道先案内でもあるかな。そっちは崖よ、落ちるよとか。そっち見てても何も無いよとかってのもマニュアルに入るかな。 スター・ゲートまでの行き方とスター・ゲートの操作方法みたいなマニュアル。 前提としてどんな素養がいるかとか、どんな能力がいるかとか。 遊泳区域で絶対してはいけないこととか。

で、僕が書ける範囲でなんとかしようと始めた勉強と研究の道行きは泥沼です。 こんなべらぼうなテーマはないですからね。

今の僕の心にキーワードとして現れているのが「共感覚」と「質感」。 質感と言っても触感とか材質感とか素材感とかマチエールのようなレベルよりもっと高次の感覚。 とりあえずそれを「皮膚感覚」と言う事にします。 ちょっと違うんだけどいまのところ他にいい言葉を思いつかないので。 広い意味でまあマチエールなんだろうとは思いますけど。

音を聴いたとき感情が伴うのは共感覚か、というのが最初の問題です。 音を聴いた時に色や質感が伴うとか、 数字を見た時に色や質感が伴うとか、 音を聴いたとき他の四感のどれかがいくつか伴うとか。

音を聴いたとき感情が伴うのは、 共感覚ではなくブートストラップ現象か、という問題もあります。

topic: classic
first posted: 2009-06-27 18:34:29
last modified: 2010-09-22 15:30:02