ようるするに、最上級の音楽鑑賞とは、映像感覚や色彩感覚ではなく、皮膚感覚に近い。

美しい景色、懐かしい景色を思い浮かべるのは自由ですが、 芸術としての音楽を鑑賞したときに生じるのは、まさに皮膚感覚です。映像とか形とか色とか臭いではないんです。 神に頭をなでられる、体を抱きしめられる、自分の境界が消失する、宇宙と一体になる、といった皮膚感覚なのです。 これは「最高位の音楽は神とのセックスである」という説の傍証でもあります。

「体で聴け」とは、そういうことでもあるのですが、 ロックやジャズのような音楽での、大音量のリズムによるマッサージのような「体感」の快感とは違います。 「体で聴く」と言っても、まったく次元の違う、もっと高度な「体感」の話です。

やはりこれだけは、一度、体験してみないと、どんなものか判らないと思う。 セックスのオーガズムやエクスタシーについて未経験者に言葉で説明するようなものだから。

本物の音楽体験では、人間どうしでのセックスを遥かに超えた快感と感動を得られる。 音楽は美しいとか楽しいとか気持ちいいとか香しいとか明るいとか暗いとか慰めとか癒しとか、 そんなレベルの話ではありません。 根源的で絶対的で全体的で完全無欠な感動と救済。 宇宙が私であり、私が宇宙である、その領域を知ってしまうと、 もう人間とのセックスなんかつまんなくなると言っても過言ではありません。 うつとか自殺とかありえない。 この超越的な体感の感動は、法悦というようなものに近いのかもしれません。

topic: classic
first posted: 2009-06-21 00:21:42
last modified: 2009-06-27 23:35:01