(1)LPはハイエンドが伸びているから音がいい
(2)LPはアナログだから音が太い
(3)LPは原理がシンプルで原始的だから音が熱い
これらはすべて幻想です。

LPの再生はいい意味で情報量が少ないのでアンプやスピーカーの仕事が楽ですし、 カートリッジが振動を音に変えるという原理から、 再生系で生じるすべての振動が音となって付加されてしまいます。 つまり「線が太い」のではなく「線がにじんでいる」のです。 そのにじみを歪みととるか味わいととるかなのです。 響きがフィードバックされて機械式のエフェクターで ディレイやリヴァーブをずっとかけてるような状態になってるわけです。 「太くて厚くて伸びがいい音」の原因はそれだけではありません。

LPは必ず微妙にハウリングします。 このハウリングがダイナミックレンジのエキスパンダーとして機能するので、 鳴りっぷりっだけがとりえの疑似ステレオな音楽なら余計に豪快に鳴ってくれるわけです。 結果的に「LPは太くて厚くて伸びのいい音」となるわけです。

このように付加されてしまう情報は歪みの一種ともいえるのです。 貧しい情報量のなかでカリカチュアされた太めの線だけで描かれるアニメのような世界はわかりやすい。 こういう趣味の世界は「ナローレンジでモノラルで歪みが味になるような音楽」ならば成立するでしょう。 楽しいかもしれませんが、原理的に歪みは多いし位相はめちゃくちゃですから聴き疲れします。

たまにLPを聴いて「やっぱりLPもいいなあ」と思っても、 「CDよりLPのほうが音がいい」とまで言い出すのは軽率です。 LPを聴いてる限り本物のステレオは体験できません。 経験値が上がり、聴く音楽の幅も広がっていけば、LPの原理的な歪みと癖が邪魔でしかなくなってきます。 「LPはぱっと聴きでいい感じで鳴るがそれ以上のものではない」と思うようになってきます。

topic: audio
first posted: 2009-01-24 20:55:20
last modified: 2009-07-11 00:32:05