至近距離で真正面から聴くなら TANNOY や KEF のような同軸型にもメリットはあります。 音像がぼけにくい。 しかし現実的に、同軸型は音場があまり広がりません。 精密だけど狭い音場になりがち。 これは同軸型の宿命です。 ツイーターの音の広がりをウーハーが邪魔してしまうのです。 つまりツイーターの指向性を広くできない構造的宿命があるということです。 広い音場感を大切にする人に同軸型は向きません。

正面から見て音源がひとつになったとして、位相的にも揃ってくるとは限りません。 ツイーターからの音は前面の一方向だけに出ればいいというものではありません。 横にも上にも出て行く必要があります。

ホーン型ツイーターであればそもそも真正面にしか高音が出ない(指向性が狭い)ので、 同軸にする意味も少しはあるかもしれませんが、 せっかく指向性が広いドーム型ツイーターで同軸構造を採っても、デメリットばかり目立ってしまう。 LINNはそのへんのことも考慮して、ウーハーの前にツイーターがぶらさがる同軸構造を採っていますが、 ウーハーの音圧でツイーターが揺さぶられ変調するデメリットは残ります。

同軸型には、ツイーターの振動がバッフルやキャビネットに美しく伝わらない宿命もあります。 TANNOYが何を聴いても独特の音色になる理由のひとつはこれではないか。 ツイーターをしっかり分離すれば、振動による混変調から逃げることができます。

高音はツイーターだけでなく、フロントバッフルやキャビネットの天板からも放出されます。 これは歌手の音がおでこや頭のてっぺんからも出ているのと同じことです。 だからこそキャビネットの表面仕上げで音場がまったく違って聞こえます。 キャビネットは塩ビ仕上げよりリアルウッドのピアノフィニッシュのほうが音がいいのには理由があるのです。 見た目を美しくするためだけにやっているのではありません。 ツイーターの振動はバッフルやキャビネットに美しく伝わって欲しいし、 キャビネットの天板はできるだけ高音を美しく反射する表面であって欲しいのです。

B&Wはツイーターが天板に外付けされていて、フロントバッフルによる前への反射は最小になり、 しかも上と横への放射は邪魔されないようになっています。 ツイーターをフロントバッフルに付けるなら、できるだけ天板に近い位置に付けたい、ということも言えるわけです。 ツイーターの位置を見ればCM1より685のほうがより合理的であることに気づくでしょう。 CM1はオーディオマニアが喜びそうな音、685は音楽ファンが喜びそうな音。 音楽をよく聴いている人ほど、CM1はツイーターとウーハーのつながりが良いけれど、伸びがなく聴いていてつまらない音と感じるでしょう。 どちらを選ぶかにその人の音楽観が出ます。 CM1は能率が低いので、「小音量のボリュームで左右の音量に激しく差が出るような、ちょっとボリュームを回しただけでとんでもない音量が出るような、家庭用としてそもそも設計不良のアンプ」と組み合わせるにはちょうどいい場合があります。

topic: audio
first posted: 2008-07-14 02:01:42
last modified: 2008-12-04 23:00:33